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【入門編】TAKISAWA社員の自主勉コラム ~旋盤とは何?旋削工具(刃先R)編~

自主勉コラム

2023年02月07日

#切削工具

#初心者

#旋盤メーカー

自主勉コラムも6回目になりました。
前回は旋削工具の切れ刃について解説をしました。
今回はチップの【刃先R】について解説したいと思います。

↓↓↓過去の自主勉コラムはこちら↓↓↓
~概略編~は、こちらから
~主軸編~は、こちらから
~刃物台編~は、こちらから
~旋削工具編(切れ刃)~は、こちらから
~心押台編~は、こちらから

1. 【刃先R】とは?

チップの先端はピンピンに尖ってはいません。
刃先の強度を上げるために少し丸みを帯びており、この部分を【刃先R】と呼びます。
【ノーズR】と呼ばれることもあります。
この【刃先R】は加工にどのような影響を与えるのか、みてみましょう。

図1 刃先R

2. 表面粗さは【刃先R】と【送り量f】で決まる!

どういうことか下記の2パターンを見てみましょう。
下の図は【刃先R】の大きさが異なり、【送り量f】が同じパターンです。
【送り量f】とは、工作物が1回転する間に、工具が進む距離です。

図2 刃先Rの大小比較

 

【送り量f】が同じ場合は【刃先R】が大きい方が表面粗さは細かくなり、
反対に、【刃先R】が小さい方が表面粗さは粗くなります。
次は上記のパターンと反対で
【刃先R】の大きさが同じで、【送り量f】が異なるパターンです。

図3 刃先Rと送り量の大小比較

 

【刃先R】が同じ場合は【送り量f】小さい方が表面粗さは細かくなり、
反対に、【送り量f】が大きい方が表面粗さは粗くなります。
表面粗さ(理論値)[μm] と 送り量f [mm/rev] と 刃先R[mm]の関係は

で表すことができます。

3. 【刃先R】は大きければ良いの?

理論的には上記2パターンから【刃先R】が大きいほど、表面粗さが細かくなります。
しかし、【刃先R】が大きくなるほど、切削抵抗が大きくなり、ビビりの原因になり、
逆に表面粗さが粗くなる場合もあります。

4. 【刃先R】による削り残し、削り過ぎ

旋盤加工において刃先Rがあることにより影響を受ける加工があります。
 
外径加工や内径加工、端面加工など、X軸、またはZ軸に対して平行に移動する加工では、仮想刃先点と実際の加工点が同一線上にあるので、正確に仕上げることが可能ですが、
テーパやR加工などは刃先R分の削り残し、削り過ぎが発生してしまいます。

図4. 仮想刃先点

上記 斜線部は刃先Rの影響により、削り残し又は、削り過ぎになる箇所を示しています。
 
このような切り残しの発生を防ぐために、
NC旋盤では、刃先Rを考慮した座標計算でのプログラム作成
又は、刃先R補正という機能を使用してのプログラム作成が必要となります。

5. まとめ

いかがでしょうか?

【刃先R】と【送り量f】は表面粗さに大きく影響します。
実際の加工では、まず荒加工を行い、その後仕上げ加工を行います。
その際、荒加工は【刃先R】と【送り量f】共に大きくしますが、
仕上げ加工では、切削抵抗を小さくし、尚且つ表面粗さを良くするために
【刃先R】と【送り量f】を共に小さくすることが一般的です。

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